母の味
「最近、元気にしてるのですか?」
ケータイ電話の扱いが苦手な母からメールが着ていた
ちょっと連絡を怠っていたから 少し心配しているみたい
久しぶりに両親に会いたくなって 実家に帰った
「今日の夜 帰ります」
昼過ぎにメールを送って 家に着いたのは20時頃
母も看護師として働いているから
昔から仕事終わりに頑張って夕食の準備をしてくれる
さすがに両親のごはんは終わってしまっていたけど
テーブルいっぱいにおかずが並んでいた
焼き魚と麻婆豆腐とハンバーグとサラダ、煮豆、ひじきの煮物・・・
こんなに食べられない・・・
私が厳選して手に取ったのは ハンバーグ
うちのハンバーグはちょっと不思議な味がする
昔から決して料理が上手いわけではない母が一生懸命考えた結果
いつの日からか 味噌を入れることにした
それが不思議とおいしい
マネをして 作ってみたことがあるけれど やっぱり同じ味にはならない
単純に「美味しい」から美味しいと感じるのか
「昔から馴染みのある懐かしい味」だから美味しいと感じるのか
それを考えながら ふと思った
これから私は何回・何十回・何百回 大切な人のためにごはんを作れるんだろうか
いつの日か「わたしの味」と言われるものができて
家族にとって 唯一無二の「母の味」になれるんだろうか
長い長い道のりだけど 唯一無二の「母の味」・・・
考えるだけで この大切な人と築いていく将来がより楽しみになる